カシアス 沢木 耕太郎

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発売日: 2005/01/01
発売元: スイッチパブリッシング
寄り添うもの私が最初に彼のことを知ったのは地元のバンドの歌う歌詞でだった。以来カシアス内藤というひとにはなぜか縁がある。
ふとテレビで特集されていたり、旅行先で偶然行くことができた沢木さんの講演会で「一瞬の夏」が取り上げられていたり。このとき内藤利朗さんのスライドでカシアス内藤というボクサーの美しい姿を見ることができた。心惹かれるひとだ。
一瞬の夏を読んでいると彼を好きにならずにいられない。
彼は優しい子よ、だから対戦相手にとどめをさせないの、というエディ・タウンゼントの言葉が頭に残る。
選手として生きた時期、スキャンダルに身をやつした時期、再起を賭けた時期、こうして病気さえ忘れるように誰かを自分の手で育てようとする時期・・どんなときも彼の中にはボクシングが寄り添っていたのだと思う。この本を見ていると、彼と一緒の何かを見れる気がしてくる。
再燃・・・自分も若い頃「一瞬の夏」に出会った。きっかけに、沢木作品を読み漁った。読むたびに私の心に熱い何かが走った。・・・あれから何年が過ぎただろうか。
私の心にはかつての熱いほとばしりは消えつつあった。そして、久しぶりに「カシアス」に再会した。そこには消えそうになっているかに思えた3人の火照りが再燃していた。私の心にもまた・・・早いジム設立を望んでやまない。
リングも下りても戦い続けていたチャンピオンノンフィクション「一瞬の夏」で描かれたボクサー・カシアス内藤が今蘇った。
現役当時のカシアス内藤は想像以上に逞しくって、格好いい。
縄跳びをするカシアス。ぼんやり階段に腰をかけるカシアス。笑うカシアス。『一瞬の夏』の中でコーラが好きなあまり歯が溶けてなくなってしまったというカシアスの奥歯はそのとおりだった。それからカシアスを見守るトレーナーのエディさんの姿もある。
でも何だか涙が溢れてくる。若くて勇ましいカシアスよりも、試合に負けたカシアスよりも、今の姿、現実社会と闘い続けている姿にくらっとくる。中 年となり大和武士のトレーナーとして大阪を歩くカシアス。アフロヘアだったカシアスは毛も薄くなり丸刈り頭でカシアスはエディさんの墓をお参りして写真集 は終わり。そして、この本の売り上げはカシアスの長年の念願だったボクシング・ジム開設資金に充てられるそう。自分もその夢に加担できると嬉しくなる。

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